「台湾のおじいちゃん」① 許文龍さん 2007/06/16 (Sat)

「台湾のおじいちゃん」の話を何回かに分けて書きます。

 

２度ほど紹介した「愛する日本の孫たちへ」から一部引用させていただきます。

以下、読もうと思っている方は、ネタばれ注意です。知っている方はすみません。

台湾のおじいちゃんことを知れば知るほど、日本人より日本人らしいですね。
敬愛の情をこめておじいちゃんとよばせて頂きます。

 

素晴らしい人たちだと思います。次の台湾の世代に語り継いでいてくれていますし、本来の日本人のいいところを、日本人よりも良くご存知です。台湾に行って実際に面と向かって話してみたいという気持ちがふつふつと湧き上がってきます。

 

まず一回目は「許文龍（きょぶんりゅう）」さん（ＡＢＳ樹脂の世界一の企業の代
表です）

 

 

「日本の植民地統治は悪いこととは言い切れない」とおっしゃっています。

 

子どもの頃の台湾は、日本人と同じ仕事をしても、台湾人より日本人の方が何割か給料が高かったそうです。これを不公平という台湾人もいましたが、許さんは日本人の実生活は苦しいと感じておられたようです。

 

実感として、ご本人の会社の工場をインドネシアやマレーシアに作った時、社員が現地の従業員と同じ給料では生活ができないということを知ったという事です。適当な給料の格差は１０倍くらい。実際、マレーシアに赴任しているイギリス人は現
地の人の２００倍という事です。その何割か高かった当時の日本人も終戦直前には同じ待遇になり、惨めだったといいます。

 

死んだ犬を担いで墓場まで持っていく仕事というのが最下層の仕事でしたが、誰もやりたがらないこのような仕事を日本人はしていたという事です。当時の他の植民地にした国でそんな仕事に就く人はいませんでした。

 

日本の統治時代になり、一気に治安がよくなり、夜ドアに鍵をかけなくてもよかったというのです。衛生状態もよくなり寿命が伸び、インフラにしても。港を例にあげても、当時の日本の港のどれよりも大きかったという事です。

 

許さんは後藤新平氏（台湾総督府民生長官）と八田與一氏（当時土木技術者として派遣）を挙げています。

 

八田氏が指揮を取ったダムでは、八田氏自らがマラリアに３回なったり毒蛇にか
まれたりと、涼しい快適な部屋にいてもよさそうな人が、先頭に立ち働いていたのです。

 

教育については、日本の教育を受けていなければ今の知識はなかったとおっしゃっています。

 

当時の感覚では「百パーセント日本人」で、日本軍が勝ったら「万歳！万歳！」で、日本という自分達の国を守るんだという気持ちで、今振り返ってもその思いには悔いは無い、物理的には苦しかったが、良い時代で、懐かしいという事です。

 

日本の現状もよくご存じで、「日教組みたいな感覚で歴史を書いてはいけません」ですって・・。

 

許さん曰く、日本人に言いたいのは、自虐趣味が強すぎる。戦前の事を頭から間違いだと思わないで、昔の日本人はどうだったのかを勉強しなおして欲しい。
その中から将来進むべき道を探し出して欲しいとおっしゃってます。

 

そして、現代の日本人の若者達に、「僕らのおじいさんは間違っていた」という権利はありませんよとも。あの時代を考えたら、そうしなければ国として存在できないような状態に追い込まれていたのですから。

 

「なぜここまで言うかというと、私は本当に日本が好きだからです。ですから日本人のことを悪く言うとたまりません。私たち、日本時代を生きた台湾人達は、日本人だった事を今でも誇りに思っています。」

 

 

「日本人は台湾の事を良く知らない」のが残念でと、少し寂しそうに感じました。